カタヌキ実践講座



ここでは、基本的なカタヌキの仕方と
失敗したときの対処法などを述べていくことにする。

  カタヌキの手順
1・型取られている溝を画鋲の針でなぞる。

  ここは念入りに行うこと。何故かと言えば、のちに行う

 「端割り」の時メインの部分が割れてしまいそうになったとき、

丁度ラインに沿って割れてくれる可能性が高くなる

からである。(1図参照) 不要な部分−板菓子のカケラは

割った先から口に放り込んでい
のも一興である(私は昔、

カタヌキ用の板菓子は食べられないものと思いこんでいた)。

 

(1図)

2・端割りを行う

 
  「端割り」とは、メインの部分をさけ、周りの余計な部分を

落としていくことを意味する造語である。ここでは相当の決断力と

長年の経験によるカンが必要になってくるが、初心者にも

ある程度端割りをして無駄な労力を消費しないことをおすすめする。

  端割りをするときは、押さえる側の手は主に親指と人差し指で

板菓子の4分の3を支えて負担を掛けないようメイン部分をかばい、

もう片方の手でなるべく指の先を使って溝の掘られている

表面より外側(2図参照)に向かって割るのがよい。

(2図)

↓これは丁寧にラインを削ってから手で割った物である。 削りを入れる前に此処まで進んでくれるので、端割りは重要だ


3・削り作業


 それでは、最も重要な作業「削り」に移る。

 最も集中力を要する段階である。

 最も多い失敗は、針を入れた時、力のいれ過ぎなどで

割れてしまうことである。そこで、最小限にその失敗を防ぐため、

外側に向けて針を入れよう。

針は45度から60度と、低めに入れる。

なるべく力を外側に逃がすことで、メイン部分に余計なストレスを

与えることを避けることが出来る。(3図参照)


 このとき、自分が作業する台の上に板菓子のカケラが

落ちていたり、作業台自体に凹凸があったりすると板菓子が

いとも簡単に割れてしまう
ので、十分注意すること。




(3図)
 4.仕上げ

  
削りをしつこく行っていれば、一番細くもろい部分でも

案外楽にクリアできるものである。削りを行うことによって

側面の荒い部分も滑らかになる(ニ図参照)。

 然しそれでも美しく仕上がらないときは最後の手・爪ヤスリ

使おう。コレは後に「7つ道具」の方でも触れるがこれほど楽に

型を美しく仕上がらせることが出来るシロモノはない。

店の人間に気付かれぬよう、作業台の下でこっそり使うことが

肝要
である。

(4図)

 

失敗したときの対処法

 

 万が一失敗してしまった場合。

というよりカタヌキには失敗がつきものであり

初心者には成功する方が少ないのだから「万が一」

も何もないのだが、もし板菓子が割れてしまった

場合でも悪あがきは出来る。


 これは割れた部分の状態にもよるのだが、

例えば最後の最後で「鉄アレイ」などのように

ごく細い箇所が割れてしまった場合は、

その部分に水分を与え板菓子の粉を擦り込み

しばらく接着していると再びくっつくことがある



 わざわざ屋台の外に持っていき

乾燥を早めるなどの工夫もある。